医療費通知の取り扱いーその1

昨年分の確定申告から、健康保険組合等が発行する医療費のお知らせ(以下「医療費通知」といいいます)を医療費の領収書に代えて使用することができるようになりました。しかし、実際に支払った医療費の額が届いた医療費通知に記載されているとは限りませんし、確定申告に必要な項目を満たしているとも限りません。

今回は、実際に支払った医療費と医療費通知に記載された金額とに差異がある場合の取り扱いについて簡単に説明します。

10円未満の端数

医療機関の窓口で支払う際には10円未満の端数処理が行われ、10円単位で支払っている場合が多いと思います。これは、釣り銭の準備や管理に要する医療機関の負担を軽減するために行われているものです。しかし、医療費通知は、診療報酬点数で計算されるため、円単位まで表示されます。このような場合は、医療費通知に記載された「被保険者等が支払った医療費の額」に基づいて医療費控除の金額を計算しても良いことになっています。もちろん、窓口で実際に支払った金額で計算してもかまいませんが、その場合は、医療費通知の余白に記載するか、「その年中に支払った医療費の額」欄に記載することが必要です。

子ども等で負担がない場合や限度額がある場合

地方自治体によっては、一定の年齢以下の子どもの医療費が全額免除されたり、1回あたりの支払額に上限が設定されている場合があります。これらの場合には、医療費通知に記載された金額で医療費控除を受けることはできません。医療費控除は、その年中に実際に支払った医療費を対象に控除額を計算することになっているからです。医療費通知を使用する場合は、適宜その旨を記載して合計額等の修正を行う必要があります。

詳しい記載方法等は、国税庁の「医療費控除に関する手続きについて(Q&A)」をご覧ください。